「ナタリー式トレーニング」(唐木元・著)を読んだら文章を書くのがまた好きになった

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このブログのほか仕事においても文章を書く機会は多々あります。今回読んだ「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング 」はすぐに活かせそうなノウハウが多く書かれていて参考になりました。なんで、今回はこの本のレビューを。
 
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読みやすい&わかりやすい文章の解説本

著者はサブカルチャーのニュースサイト「ナタリー」を運営するナターシャ取締役の唐木 元さん。ナタリーに入社した未経験の記者スタッフに対して行われていた研修(通称「唐木ゼミ」)の内容がわかりやすくまとめられています。ナタリーは普段から記事を拝見してますが、メディアとしてはライトな印象なんだけど記事は端的で読みやすいんですよね。そんなナタリーの記者の体制を築いた人が書く本ですからなんたって読みやすい。非常にわかりやすかったです。特によかったのは以下2点。
 
①「良い文章」の定義をしてくれた
冒頭でまず、良い文章=完読される文章と定義してくれたことがすっと頭に入ってきました。

どうしたら文章がうまくなるか悩んでいる方にまずお伝えしたいこと。「完読される文章が良い文章」と決めると突然視界がクリアになります。

うん、シンプルだけどこの言葉の中に色々な要素が詰まっていて的を得た表現だと思いました。
 
②見開き2Pで1テーマ、とにかくわかりやすい
77あるポイントを見開き2ページで一つずつ解説。例文のBefore Afterが必ず付いていて、イラストも多く載っています。読み疲れないようにという心遣いが嬉しかったです。
なので、すいすい読み進められました。
 
完読される文章が良い文章なら、完読される本は良い本ですね。この本が証明していました。

思っていたことを明文化してもらう気持ち良さ

この本を読んでいて得た新たな気づきは全体の4割くらい。あとは自分が仕事やこのブログを書くなかで培ってきたノウハウを明文化してもらった感じでした。これがすごく気持ちいい。なんとなくモヤっとしていたものがクリアになる感じというか。さらに読んで再認識することでこの本のナレッジが身につく。たとえば以下の項目。
 
・文末の重複

「今朝はパンを食べました。パンにはジャムを塗りました。食後にはコーヒーを飲みました。」

「今朝はパンを食べました。パンにはジャムを塗ります。食後にはコーヒーを飲みました。」

あるある、この小学生作文感w原因は語尾のワンパターン連続使用。すごくチープな印象を与えちゃうんですよね。
語尾にバリエーションを持たすことが大事だと再認識しました。
 
・主語と述語を意識

「妻が『今日の夕飯はすき焼きよ。』と言ったので、思わずガッツポーズをした。」

「妻に『今日の夕飯はすき焼きよ。』と言われたので、僕は思わずガッツポーズをした。」

これは会話の中でもあるパターンですよね。原因は主語の省略と能動態or受動態の正しい使い方。上記の例はまだシンプルだから紐解きやすいですが、さらに複雑になると誰がどうなったかわからなくなりますよね。。
(その場合は主語と述語を1セットずつ確認する)
 
・一文でがんばらない

「彼のやっている仕事は属人的な要素が強く、替えが効かないので彼が休んだときになにかしらのトラブルが生じたときには対応ができないため、組織としては早急にこの問題を解決しなければいけないと私は感じている。」

「彼のやっている仕事は属人的な要素が強く、替えが効かない。だから、彼が休んだときになにかしらのトラブルが生じたときには対応ができないという問題が生じる。私は組織として早急にこの問題を解決しなければいけないと感じている。」

文章を書くことに慣れてきて、もっとうまい文章が書きたいと思うとハマるトラップですね。長くても文章としては成立するし、意味も理解することができる。ただ、わかりづらいんですよね。読んでから理解するまでのちょっと時間差が気持ち悪い。それを生まないようにするには適度に文章を区切ることが大事。
 
・漢字かなのバランス

「少々、予定の待ち合わせ時刻より到着が早まったため、来週末公開の新作映画の前売り券を購入するために映画館に向かった。途中で外国人に道を尋ねられたので、行き先までの道のりを身振り手振りを使って教えた。」

「予定の待ち合わせ時間より少しだけ早く着いたので、来週末に公開される新作映画の前売りチケットを買うために映画館に向かった。途中で外国人に道を尋ねられたので、行き先までの道のりをジェスチャーで教えた。」

例えが上手くないか…w
要は文章を構成する漢字の割合が多いと読めるには読めるけど読みにくいということ。逆もまたしかりでカタカナだらけも読みにくい(最近はこっちのほうが多い?)。漢字、かな、カナをバランスよく使うことが読みやすさにつながると。…これ、他の言語にあるんですかね?ニホンゴムズカシイ。。

大切なのは「気持ち悪い」に気付くこと

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この本を読み終えて感じたことが文章の気持ち悪さに気付けるって大切だなということでした。
 
書いた文章を読んで違和感を感じる、リズムが悪くて読んでスッキリしない、わかりづらい、こういったことに敏感になれるか。まずは気付くことから始まるわけですね。
気付いた後は、その気持ち悪さの原因を突き詰めて妥協せずに改善していく。すごく根気のいる作業です。場合によっては8割まで完成しているものを一から作り直すことだってあります。文章が上達するって、こういうことの積み重ねなんだなと。
 
この本に書いているポイントを抑えればたしかに良い文章は書けるでしょう。ただ、それが読み手に響くかどうかはまた別の話。やはりそこに書き手の想いがあって初めてその文章は活きたものになるのだと思います(そもそも伝えたいという想いがなければ文章を研ぎ澄ますという地道な作業は続けられない)。
 
質の高いコンテンツと叫ばれている今だからこそ、この本に書かれていること、そして読み手に伝わって響く文章を書くこと、大事にしていきたいです。
 

 
 
おしまい

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