ダンスミュージックが好きで、好きなDJのパーティーだと一人で行っちゃいます。
Nicky Sianoが出演した先日のパーティーも一人で観に行きましたが、忘れられない夜になりました。
今回はそのレポートをお送りします。
リビングレジェンド
まずNicky Sianoについて軽く触れておきます。
- DJ歴42年(!)
- イタリア系アメリカンですごく陽気
- 17歳で自身のクラブ「GALLERY」を始める
- 現在に継承されるスムーズなビートミックス(曲のつなぎ)を初めてやった人
- クラブで初めて(たぶん)ターンテーブルを3台使った人
- ベース用のスピーカーを初めてクラブに導入
- クロスフェーダーミキサーを初めてクラブに導入
- 10代のLarry Levan、Frankie KnucklesをGALLERYで雇い、DJのイロハを教えた
- 足でミックスしたという逸話がある
- 「Studio54」でレジデンスDJを務める(が、クラブの方針に合わず5ヶ月でクビ)
- DJを休業して福祉関係の学位を取得、HIVに関する書籍を執筆(ベストセラー)
- 今はレコードではなくMacでプレイする
二言でまとめると、
今のDJスタイルを確立させた
Larry LevanとFrankie Knucklesというレジェンドに影響を与えた
というDJ界の生ける伝説なわけです。
ハウスミュージックの傑作ドキュメンタリー「MAESTRO」でその存在を知り、雑誌Waxpoeticsで彼の人柄とGALLERYの雰囲気を知り、今回リリースされたドキュメンタリー「LOVE IS THE MESSAGE」で当時の熱を感じることができました。
そんな彼が9年振りに来日!これは行くしかないと胸ときめかせて恵比寿リキッドルームに向かいました。
パーティーレポート
12時を回るちょっと前に会場入り。入り口でこんなものもらいました。
キースへリングのイラストが素敵です。70年代当時もこのように配ってたんですかね。
メインフロアはまだ開いておらず、2Fのロフトで一休み。
ここのくつろげる雰囲気、とても好きです。選曲もまだゆるい感じだったのでソファに座って仮眠(早いw)。
小一時間寝てスッキリしたら、ロフトでもガラージクラシックが流れていたので準備運動がてらひと踊りしていざメインフロアへ。
トップバッターのMOODMANが回していました。フロアの中心部にミラーボールがあるのがとてもステキでした。
音がいい感じで古い♫70年代のブギー調の曲をかけながら、会場をあっためていました。
会場を見渡すと自分より年上であろう夜遊び好きな方々が多かったように見られます。それぞれがそれぞれのペースで楽しんでいる様子。
ガラージのロゴがスポットライトに照らされていました。Larry喜んでるかな。
30分くらいすると、DJがNORIさんにチェンジ。
SALSOUL,WESTENDの楽曲中心のセット。すごくツボ。そして相変わらずレコードをセットする、ピッチを合わせる、ミックスするいでたちがカッコいい。ミックスはカットインやつながないロフトスタイルなどさまざま。展開や曲の性質に合わせて使い分ける、勉強になりました。
大好きなRipple「The Beat Goes On」をプレイしていたのがとても嬉しかったです。
ステージにはブースが2つあったのですが、使っていない方のブースで動きが。
Nicky!スキンヘッドにParadise Garargeのノースリーブシャツ(袖破った)。Macをセットし始めた。あら還の爺ちゃんがラップトップでDJってすごいことですよね。GALLERY時代から最新の設備を取り入れてきたスタイルの表れですね。
Nickyが現れてからも1時間ほどNORIさんのDJが続き、軽快な曲でフロアを上げてNickyにバトンタッチ。NORIさんかっこよかったです!
Nickyは代名詞とも言える列車(ヘリだったかも?)の効果音を使ってスタート。
これでもかっていうくらいの極上のダンスクラシックを連発。とにかくテンションが高い。
First Choice「Dr.Love」を両手を広げながら唄ってプレイしていたw
ただそんなノリノリでプレイしているのにミックスは恐ろしいほどに正確無比。自分でも何度もやって失敗してるからわかりますが、ダンスクラシックの曲はビートが揺れて一定じゃなかったり、イントロからメロディが入っていてビートが聴き取りづらかったりとハウスやテクノに比べてミックスが難しいんです。そんなダンスクラシックをミックス直前まで唄って踊ってアイソレーターをいじりながら、スッとビートミックスさせてしまう、これには溜息がでました。さすがレジェンド。
そんな彼がDJにとって最も大切なのはミックスではなく選曲と言っているところがまたカッコいいです。
ミックスが重要なポイントになりすぎている。|Nicky Siano Interview
そして、僕が大好きな曲にチェンジされた瞬間、思わず涙がこぼれました。
The Salsoul Orchestra feat. Loleatta Holloway「Runaway」
このときの幸福感、動画からも伝わると思いますが、本当にすごかったんです。今まで行ったパーティーの中でも3本の指に入るハイライトでした。
約2時間半プレイしたNickyの後を引き継ぐのは、
Mr.TTこと高橋透さん。
3年前にここリキッドルームで透さんDJ休業前の最後のパーティーで観て以来。Nickyの選曲の流れを汲んだダンスクラシックを次々と投入。Nickyとは対照的な控え目なアクションがらしくてステキ。
時間がam4時を回り、体力も限界に近づきウトウトしていましたが、次の曲で目が覚めました。
Dan Hartman「Relight My Fire」
この曲は自分がDJするときも必ずプレイする大好きな曲だった(↑の動画はその当時のもの)ので、飛び起きてフロアの真ん中に行って踊りました。キラキラのミラーボールに照らされて見えるお客さんがみんな笑顔。本当にいい雰囲気だったなぁ。
透さんのプレイに後ろ髪ひかれながらもam6時に会場を後にしました。
70年代のNYの熱を少し感じられた
本当に楽しかった!自分も含めお客さんみんな笑顔だったんじゃないかと思います。40年前にNYのアパートを改装してやっていたGALLERYもこんな雰囲気だったのかなぁと帰りの電車で感慨に耽りました。(ただ、当時の社会事情を考えれば現代がいかに恵まれているかも実感しました)
70〜80年代のダンスクラシックの素晴らしさ、音楽を全身で感じて自由に踊ることの楽しさを再認識できました。こんな素晴らしいイベントの協賛に入ってくれたRedbullには本当に感謝です。引き続きシュガーフリー愛飲します!
年齢もあるし、Nickyを観れたのはこの日が最後になるかもしれません。だとしても、彼の全力のパフォーマンスを間近で観て踊って満喫できたので後悔はないです。
そしてクラブカルチャーの礎を築いてくれた偉大なる先人に改めて感謝。その恩恵を感じつつ、これからもパーティーに行ったり、自分でもDJを楽しみたいと思う次第です。
おしまい