音楽

また一つ好きな場所がなくなった~西麻布elevenクローズによせて~

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先日、東京でも好きな場所だったひとつが無くなった。
 

eleven_logo

 
西麻布にあるelevenというクラブ。
クローズすると聞いてからあっという間だった。
お別れを言えなかったことが悲しい。
少し想い出を振り返ってみることにします。



  

東京で一番行ったクラブ

07年に上京して、本格的にレコードを触るようになり、様々なHOUSEを聴くようになりました。
そんな聴いてるレコードのアーティスト達が来日する、東京って凄いなと思いました。
Larry Levanを崇拝していたので、DannyやJoeを好きになるのは必然だった気がします。
 
当時、代官山AIRやyellow(elevenの前身)に見に行くこともありましたが、周りに同じ趣味の友達がおらず、また当時は一人で乗り込む度胸もなかったので、一年で2、3回しか行きませんでした。
翌年(08年)にyellowがクローズしたことを思うと、もう少し行っておけばよかったと少し後悔しています。
 

写真

 
elevenがオープンする2010年には、東京での生活も慣れ、自分でもイベントでDJをやるようになっていたので、プロの技を生で見て勉強したいと思うようになってました。
 
気がつけば、東京で一番行ったクラブになってました。
yellowに馴染みのある人から言わせると、yellowのほうが良かったみたいですが、yellowより人の導線がしっかりしてシンプルな内装、フロアも正方形に近い形で四方に大きなスピーカー、覗き込める高さのDJブース、札幌のPRECIOUS HALLが好きな僕にとってはお気に入りの場所になりました。
 

レジェンドをいっぱい見た

憧れだったDJも多く見ることができました。
Danny Krivit、Francois K、Joaquin”Joe” Claussell、Louie Vega、DJ Harveyなど。
東京にいなければこれだけのメンツを気軽に見に行くことはできなかったと思います。
DJの端くれとしては、彼らがどういった選曲をして、どういったミックスをして、どういった振舞いをしているかを目の前で見ることができたのはかけがえのない経験でした。
それができたのも、elevenのDJブースが低い位置に作られていたからです。感謝。
 
そして大いに踊らされました。
選曲の内容は違えど、彼らには共通してストーリーがありました。
徐々に盛り上げていってピークを迎えて、朝方には落ち着いたブレイクを作る、そんな流れが大好きでした。
 

Timmyとの思い出

そんな数々見てきたレジェンドの中でも一番思い出に残っているのがTimmy Regisfordです。

timmy

 
シェルターサウンドと言われる独特の世界観に毎度魅了されていました。
DJとしても見て一番勉強になった人でした。
それぞれの曲を一緒に回しながら混ぜ合わせるロングミックスという技術はTimmyから学びました。
3カ月練習して一発録りしたロングミックスの集大成↓

SOUL MIX 5 mixed by TOKU by Tokuno Kazuya on Mixcloud

 
JoeやLouieが感情を体現しながらアグレッシブにプレイする一方で、Timmyは時折フロアに目をやるものの、表情を変えることなく淡々とプレイしていました。
ただ、ずっとそういう状態というわけでもなく、稀に曲の盛り上がり時に恍惚の表情を浮かべる時があります。そんなTimmyの姿をブースを覗き込んで見るのが好きでした。
 
Timmyのプレイは時間が長いことで有名で、夜1時からプレイし始め、次の日の昼までなんてのはザラでした。(12時間!)
それを知っていた僕は、始発で行ってラストまで見届けたりもしました。
僕にとってラストelevenになってしまった今年1月の来日時は、最初(23時)から最後(翌14時)までとことん付き合いました。
最後を迎えたときの、残ったお客さんとTimmyとの一体感が心地よかったです。
 
Timmyのプレイを思い浮かべながら、今でも彼の素晴らしいミックス音源を聴きます。

 

クラブカルチャーの火を消さないために

クラブの想い出≒elevenの想い出、というくらい様々な体験ができました。
そんな場所が無くなってしまうことは本当に残念で仕方ありません。
・eleven閉店のお知らせ
ビルの改修工事とのことなので、復活するかもしれませんが今後については未定とのこと。
とはいえ収益上厳しかったのかな、風営法の圧力があったのかな、と考えてしまいます。
風営法以前にそもそもクラブに行く人が少なくなっていることは肌で感じていましたし。
先日は青山LOOPも閉店しましたし(ここもお世話になりました)、クラブ経営自体が厳しい状況にあるのは間違いないと思います。
 
現実、自分も環境が変わりクラブに行く回数は減っています。
そんな中で自分の力で今のクラブカルチャーに寄与できることは、ダンスミュージックの素晴らしさを伝えること、クラブイベントに参加した時にはその体験を共有することだと思っています。
 
elevenお世話になりました。想い出をありがとうございました。
 

※追記
elevenのクローズを追ったドキュメンタリームービーが公開されました。
Joe Claussellの貴重なインタビューも収録されていて、とても素敵な内容でした。

 
 
おしまい

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