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「パーソナル・ソング」を観て感じた音楽体験の素晴らしさ

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学生時代からドキュメンタリー映画が好きで、劇場に観に行くこともちょいちょいありました。でも、パンフレットを買ったのは今回が初めてでした。
 
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今回は「パーソナル・ソング」の感想を少々。
※今回はいつにも増してだいぶ主観が入っておりますが、あくまで個人的感想と言うことで。



  

認知症×音楽というテーマが興味津津だった


 
学生時代に「明日の記憶」という邦画を見て、アルツハイマーという言葉を知りました。それからもアルツハイマーや認知症というワードは気にするようになりました。親や祖父母のことを考えると人ごとには思えなかったからです。
 

 
有効な治療法がないことも知っていました。だからこそ、この映画の予告ムービーを観たときは嬉しくなりました。自分が好きな音楽がその治療法となり得ると知れたから。これは絶対劇場で観たいと思いました。

感想

映画のコピーにもなってるように、薬って1000ドルもすることにまずびっくり。それら薬の類は抗精神病薬(抗うつ剤など)で、パンフレットの資料によるとアメリカの老人ホーム入居患者の5人に1人がなんらかの薬を使用しているとのこと。
でもこれって治すためではなく彼らをコントロールする、暴れないように抑えるためのものだということを映像を通じてまじまじと感じました。
 
一方で音楽療法は40ドルの音楽プレーヤーがあれば患者の脳に働きかけ心を解き放つ。精神的にも経済的にも効果的なのに医学的行為としてみなされないという理由で受け入れてもらえない。ダン(主人公、音楽療法の普及に奔走するソーシャルワーカー)が感じた歯がゆさを思うといたたまれなくなりました。
 
調べると日本でも提唱はされてるみたいです。

 
音楽を聴いて水を得た魚のように活き活きする患者たちを見て自然と笑みがこぼれました。
「レナードの朝」の原作者であるオリバー・サックス博士は以下のように述べています。

音楽は人間が体験する中で最も脳に強く印象を与えるもので、通常であればアクセスできない深い感情や記憶まで蘇らせることができる。

 
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中年女性がビートルズを聴いた時の反応の早さには驚きました。「A Harddays Night」のイントロのギターストローク一発で飛び上がるように歓喜していたのにはすごく共感。想い入れのある曲って断片聴いただけで曲と聴いていたときの光景が一瞬で蘇る。あの感覚は誰もが持っているんだなぁと。
ちょっと前のテレビ番組であるミュージシャンが「音学ではなく音楽」と話していたことを思い出しました。
 
こういう体験を容易にできるようにするためなら、今普及が進んでいるSpotifyをはじめとするストリーミングサービスもありかもってちょっと思いました。

日本での普及するにはいくつか壁がある気がする

じゃあこれが日本でも普及するのかというと、簡単にはいかない気がします。
日本人が曲を聴いて記憶を呼び覚ますような音楽体験をどれだけしているのかなと。やっぱりアメリカに比べると音楽との密接度は総じて低いんじゃないかなと。
 
今でこそフェスやイベントが各地で色々あるけど、日本って音楽を流行の対象と捉えて一過性のものにしてきた歴史がある。親世代の人と話をしていて、音楽の話で盛り上がった記憶があまりまりません(音楽を通じて出会った人は別として)。もしかしたらそれぞれあるのかもしれないけど。当時買っていたレコードを今でも持っている人ってどれだけいるんだろうか。
 
一方で若い人たちはと言うと、ネットなどで容易に曲が聴ける環境が当たり前になっている。だから音楽にはふれてるけど、入ってくる情報が多いから1曲1曲に思い入れを持って聴くことが減ってるのかなぁなんて思ったりします(会社の後輩たちに聞くと実際にこのようなケースがあった)。よく言われる、“音楽を消費する”状態ですかね。悲しいかな自分もこの自覚がちょっとある。これだと、音楽療法を受けても反応はしないんだろうな。それは寂しい。

音楽体験の豊かさ=心の豊かさ

ここからは自分の話になりますが、
 
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それでも自分にはかけがえのない音楽体験がいっぱいある。
 
初めてギターのリフを弾いた「ゲットアップルーシー」、
初めてCDを取り寄せて手に入れた「LAMP」、
大学受験勉強中、1日1回は必ず弾いていた心のベストテン第1位の「シャロン」、
高校の学祭で爆音でかけた「Born Slippy」やクラスの仲間と踊った「DOWN BEAT STOMP」、
成人式のパーティーで友人のDJで初めて聴いて感動した「Lights」、
幕張の解散ライブで聴いた「リリィ」、
苗場のGREENステージ最前2列目で目撃した「Can’t Stop」、
DJとしてプレイして自分史上最高に盛り上がった「Relight My Fire」、
RSRにて2本のギターの後奏がキレイだった「8月」、
プロポーズするときにお店でかけてもらった「LOVE-SICK」、
今は無き36号線沿いのプレシャスホールで寝落ちしながら聴いた「BEAT GOES ON」、
結婚式の入場曲に使った「ハナウタ」、
Joeのアイソレーター使いが最高な「Don’t You Want My Love」、
Nickyが楽しそうにプレイしていた「Runaway」、etc.
 
それぞれがいつどこでどんな状況で聴いていたかを思い出すことができる大切な思い出たち。
これらのことをいつまでも覚えていて、また妻や仲間と思い出を語り合えるのはすごく幸せなことだなと思います。もし、自分が認知症にかかったら上記にある曲をどなたか聴かせて下さい。きっと劇中のおじいちゃんみたいな反応すると思います。
音楽体験の豊かさはイコール人の心の豊かさなんだと観終えたときに感じました。
 
 
劇場で観る価値のある映画です。昨年12月公開なので、だいぶ各地で上映終了していますが、追加上映がポツポツ増えています。
(都内では3/7から下高井戸で観られるようです。)
パーソナル・ソング 劇場情報
 
この映画が広まり、そして音楽療法がより認知されて、普及することを心から願います。
 
 
おしまい

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