9年ぶりにマンガを買った、「波よ聞いてくれ」というラジオ漫画を

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我が家にはジャンプが毎週配達されるシステムがあったので、保育園時代からマンガに親しんでいました。小学生になって気に入ったマンガは単行本を買うように。初めて買ったのは小学2年生のときのスラムダンク。親の出資を受けて、キャプテン翼、シュート、H2、コナン、MAJOR、YAWARAと家の本棚が単行本でいっぱいになっていった。
 
実家を離れて一人暮らしするようになってからは、かさばるから単行本を買わなくなりました。それでも今から9年前、映画化をきっかけに「20世紀少年」を読んで衝撃を受け、人生初の全巻大人買い。全22巻を置くスペースを割いても「これは持ってなきゃいけない」と思ったから。今でもその想いは変わらない。1971年の夏にヨシツネが一人で秘密基地を作っていたシーンが一番好き。単行本を買うのはこれが最後になるとそのときは思っていました。
 

でも、先日9年ぶりに単行本を買った。「20世紀少年」のときと一緒で、「これは持ってなきゃいけない」と思ったから。波よ聞いてくれという作品でした。

 



  

設定ですでに引き込まれた

知ったきっかけはアメトークの「本屋でマンガ芸人」。麒麟川島が推薦していて、ラジオというキーワードに反応した。その後、近所のTSUTAYAでコミックレンタルをしていたので借りて読んですぐにハマる。
 
このマンガ、一言でいうと、
〝札幌のスープカレー屋勤務の20代女性がギョーカイ人に騙され、ひょんなことからラジオDJをする”という話。
北海道出身でラジオフリークの自分としては↑のふれこみだけで惚れました。
試し読み:第1話「お前を許さない」
 
限りなく実在の固有名詞(北海道の地名、日ハム、ビアガーデンなど)が道産子にはたまらないです。例えばこんな主人公が毒を吐くこんなセリフ、

「地元と比べりゃお前の顔面偏差値、野球で例えたら大野レベル」とか言いやがるわけですよ!!
ハァ!?何が言いたいの!?大野はパの現役捕手で一番ホームラン打ってますけど!?ってなるじゃないですか

これ、失恋トークの中で前触れなくいきなりこの野球喩えをぶっこんでくるわけです。最高ですね。
他にも釧路市出身の主人公が実家に帰る羽目になりかけたときに「やっぱり除雪の入る札幌にいたいー!」と懇願するシーンとかニヤニヤしちゃいました。

 
 

言葉のチョイスがたまらなく好き

画もすごくカッコいいんですが、このマンガの魅力は登場人物のセリフに尽きます。いくつか紹介。

…ビールはキリンのブースが好きだけど食い物は世界のビール園が一番美味い
このジレンマ…

主人公が酔いつぶれながら心の中で吐いたわけですが、これ、札幌大通のビアガーデンのことなんですね。
このセリフもやはり前触れなく展開されるところが、知ってる人にはたまらんのです。ちなみに札幌のビアガーデンは駅がある中心部からサントリー→アサヒ→キリン→サッポロ→世界のビール園と並んでいて、キリンのブースはちょっと前までは噴水広場やラジオブースがあって華やかなイメージでした(ラジオブースもうないですが…)。
 

世界のビール園は少し距離があるので、他のブースが満席でもここなら空いてるケースがありました。ただ自分は、せっかくビアガーデンに来てるからにはプレモルやスーパードライや一番搾りや黒ラベルを飲みたいという気持ちを抑えて世界のビール園に落ち着くという決断はなかなかできず(こういう人少なくないはず)、世界のビール園は行ったことなかったので料理がおいしいのは知りませんでした。

世の中には三つの「殺意が湧く食い方」がありますけどそのうちの一つですね
あと寿司をネタだけ食う奴と何でもマヨネーズかける奴

主人公がラジオDJの先輩と焼き鳥を串から外して食べることについて語り合うくだりで放たれたセリフ。もうこれは誰もが共感するポイントを余計な言葉を加えず簡潔に言い切るところがとても気持ちよいです。

ギター・ベース・ドラムス募集、当方ボーカル…と同じくらい人をイラッとさせる何かがあるわね

主人公が番組の肝となる企画をリスナーから募集しようとして、ラジオ局のサイトのパーソナリティ紹介ページに自身の簡易なプロフィールと「私に話してほしいこと募集中」というどシンプルな告知をしているところを見た先輩DJの一言。これもまた余計な言葉がなく的確に的を得た比喩で気持ちよいです。

こういったセリフ一つ一つの言葉のセンスがツボを突いてきます。
 
 

アプリ群雄割拠時代にマンガをどう読んでもらうか

今ってマンガアプリがめちゃくちゃ乱立してますよね。
無料で全巻読破も、おすすめマンガアプリ17選 利用者数による人気ランキングも紹介
 
自分もいくつかスマホに入れてます。学生時代に夢中になって連載読んだやつとか実家に全巻あるけど今手元にないやつがいつでもスマホで読めちゃうのはやっぱ便利です(本で読めるのがベストですが)。
アプリを初めて使うきっかけは意外にも過去の作品を読み返したかったからではなく、読んだことない作品のバナー広告を見て興味を惹かれたからでした。
 
ちなみにこれ↓

 
なかなかおもしろかったです。
読んだのはこのアプリ↓
「ヒル」が無料で読める!! (今井大輔) | マンガZERO
 
で、ゲームのアプリも同じだと思うんですが、無料でユーザーを釣っておいてアプリ内で遊ばせて良きタイミングで課金する(有料化)というものがほとんどです。マンガアプリのタイプとしては、
A.無料で読めるポイントを付与してユーザーに継続利用してもらう(広告収入)
B.電子版を購入してもらうor一定期間読める権利(レンタル)を購入してもらう

大体が上記2つのタイプに分けられます。
 
Aの場合はユーザーにとっては無料である点が、作者にとっては多くの人に作品を読んでもらえる点がそれぞれメリットになります。一方、ユーザーにとっては読んでる途中にちょこちょこ広告が挟まれる点が、作者にとっては配当される収入が少ない点がデメリットです。Bの場合はAとはメリデメが反対。ここらへんは音楽のダウンロードvsストリーミングの構図と同じですね。
参照:音楽アーティストが得る収入は、1再生あたり0.16円。Apple Music、AWA、LINE Music、Spotify……定額制ストリーミング配信時代に突入

上記のAかBか作品によって戦略が分かれるところですが、じゃあ「波よ聞いてくれ」はどうかというと…Bでした。
1話を試し読みはできるけど、その先は購入してねというストロングスタイル。
読むとこのスタイルは正解な気がする。1話読めば読者を引き込む力がこの作品にはある。
試し読み:第1話「お前を許さない」

作者の沙村さんに然るべき対価が払われて、この作品が長く続いていってくれることを願ってやまない。


 
 
<おまけ>
実写化の噂も絶えないですね。大いにありえる。ただ、問題は主人公を誰が演じるか?
参照:●『波よ聞いてくれ』人気漫画の実写ドラマ化で主演女優は誰?
石原さとみ、松岡茉優、長澤まさみ、みんないい女優ですが、なんかイメージと違う…
 
やっぱ毒がないとハマらないと思うわけです。その毒を持ってる女優さんってなかなかいない気がする。
一人だけ思いついたのは、ちょっと前のゴッドタンで気持ちいいくらい毒づいてた中島愛里が合ってるんじゃないかなと。
中島 愛里 プロフィール


 
番組中でも「女版 鈴木拓(ドランクドラゴン)」と称されてましたからねw
 
実現したら嬉しいな。
 
 
おしまい

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